なぜ今「問題解決力」が必要なのか?
私たちの暮らしは、これまでになく複雑になっています。
AIやテクノロジーの進化、予測できない社会情勢、変わりゆく働き方——こうした時代を生きていくために、ただ知識を覚えるだけでは不十分です。
そこで必要なのが、「自分の頭で考え、問題を解決する力」。つまり、「論理的思考」や「問題解決力」なのです。
でも、ここでひとつ疑問がわきます。
果たして今の日本の学校教育で、これらの力は十分に育まれているのでしょうか?
実は、そうとは言い切れません。学校では「正解のある問題」に答える練習はたくさんしますが、「正解のない問題を自分で考えて解く」力を育てる機会はまだ少ないのが現状です。
そんな現代の教育における“空白”を、楽しく、しかもわかりやすく埋めてくれる本があります。
それが今回紹介する『世界一やさしい問題解決の授業』です。
- 『世界一やさしい 問題解決の授業』とは?
- 読んで感じた3つの魅力
- なぜ小中高生におすすめなのか?
- 教育現場・家庭での活用法
- まとめ:本書が子どもたちの未来を変える理由
- おまけ:論理的思考が学べるおすすめ本
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『世界一やさしい 問題解決の授業』とは?
この本は、戦略コンサルタントとして世界を舞台に活躍した渡辺健介さんが、小中高生向けに書いた思考力トレーニングの入門書です。
一見、「問題解決」や「論理的思考」というと難しそうに感じるかもしれません。
でもこの本は、タイトルのとおり“世界一やさしく”、しかも“実践的”に、考える力を育ててくれるのが最大の特徴です。
内容は、ストーリー仕立て。
中学生の主人公たちが、「学校をもっと楽しくしたい!」という課題に取り組みながら、どうやって情報を整理し、原因を探り、対策を考えるかをひとつひとつ学んでいきます。
たとえば、「イベントへの参加者を増やしたい」という目標に対して、ただ「もっと増やそう」と叫ぶだけではなく、
なぜイベントへの参加者が少ないのか?
イベントへの参加者を増やすために何が障害になっているのか?
どのアイデアが現実的か?
と、段階的に問題を分析し、論理的に考えるプロセスを見せてくれます。
また、図やフローチャートを使って説明しているので、「目で見て納得できる」点も素晴らしいです。
まさに、“考えること”が苦手な子でも、楽しく読み進められる工夫が詰まっています。
読んで感じた3つの魅力
① 抽象的な「考える力」を具体的なステップで学べる
「論理的に考えよう」と言われても、実際には何をどうすればいいのかわからない。
大人でもそうですよね。でもこの本では、問題解決を以下のような5つのステップで教えてくれます。
問題を明確にする
問題の構造を把握する
原因を分析する
解決策を出す
解決策を選ぶ・実行する
まるで、料理のレシピのように「考えるプロセス」が明文化されているので、誰でも真似できます。
これが非常にありがたい。
特に、最初に問題の「本質」を見抜くプロセスは、学校でも社会でも通用するスキルです。
たとえば、「成績が上がらない」という悩みに対して、「勉強時間を増やす」と短絡的に結論づけるのではなく、
そもそも理解度が足りないのか?
学習方法に問題があるのか?
モチベーションが続かないのか?
といった観点から、問題を“細かく分けて”考えることができます。これはまさに、論理的思考の真髄です。
② 子どもでも“使える”思考法になっている
難解な用語や理論的な文章は一切ありません。
むしろ、「中学生に話しかけるような優しいトーン」で書かれているため、小学生の高学年でも読み進めることができます。
また、出てくる課題や会話の内容が「学校生活の中で起きそうなリアルな話」なので、子どもたちも自分ごととして捉えやすいです。
これは教育的にも非常に価値があると思います。
抽象度が高すぎる教材は、子どもには響きませんが、この本はその壁を見事に越えています。
③ 実社会の問題にも応用できる
驚くべきことに、この「中高生向けの問題解決本」、大人が読んでも普通に学びがあります。
特に、「仕事での課題解決」や「チームでの意思決定」に悩む社会人にとっても、使えるヒントがたくさんあるんです。
本書で紹介されている「ロジックツリー」や「マトリックス分析」は、ビジネスの現場でもそのまま使える思考ツールです。
難しいMBAの教科書を読む前に、まずこの一冊で“思考の骨組み”を身につけるのは非常におすすめです。
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なぜ小中高生におすすめなのか?
子どもたちの思考力や問題解決力は、「自然に身につくもの」ではありません。むしろ、意識して育てていく必要のあるスキルです。
特に、小中高生のうちに「考える習慣」を身につけておくと、以下のような大きなメリットがあります:
授業の内容を自分なりに深く理解し、応用できる
探究学習や自由研究のテーマ設定・構成がうまくなる
試験や受験でも“考える問題”に強くなる
自分の進路や将来について、主体的に判断できる
これからの教育においては、「答えのある問題」だけでなく、「自分で問いを立て、考え、答えを導き出す力」がますます重要になります。
そのためにも、『世界一やさしい問題解決の授業』は、小中高生にとって最高の“考える練習帳”と言えますね。
教育現場・家庭での活用法
この本の素晴らしい点は、「読むだけ」にとどまらないところです。
使い方次第で、教育現場や家庭学習の場面でも大いに役立ちます。
● 学校の授業で活用
中学校や高校の「総合的な学習の時間」や「探究学習」の教材としても良いですし、現代文・国語の授業でのディスカッションテーマや生徒会活動や委員会活動の思考ツールとしても良さそうです。
● 家庭での学習にもピッタリ
親子で一緒に読み、学校の課題や日常の問題を考えてみる
自由研究や読書感想文のネタにする
将来の夢やキャリアについて考えるきっかけに などなど・・・
「考える力」は一度身につければ、一生の財産になります。
だからこそ、こうした本を“家庭の本棚”に常備しておく価値があると感じました。
まとめ:本書が子どもたちの未来を変える理由
『世界一やさしい問題解決の授業』は、単なる“読みやすい本”ではなく、これからの時代を生き抜くための「土台」を築いてくれる一冊です。
論理的思考力を育てることは、学力を上げるだけでなく、「自分で考えて動ける人間になる」ための最初の一歩でもあります。
この本を通じて、子どもたちは“正解を探す”だけではなく、“問いを立てて、解決の道を考える”という姿勢を学ぶことができます。
学校教育の中でこのような本をもっと活用していけば、日本の教育はさらに豊かになるのではないでしょうか。
おまけ:論理的思考が学べるおすすめ本
本書が気に入った方には、こんな本もおすすめです!
『考える技術・書く技術』(バーバラ・ミント著)
→ ロジカルシンキングの世界的ベストセラー。やや大人向けですが必読書です。
『イシューからはじめよ』(安宅和人著)
→ 「そもそも解くべき問題は何か?」という視点を鍛えたい人にぴったり。
『世界一やさしい問題解決の授業2』
→ 本書の続編。より高度な問題解決をストーリー仕立てで学べます。
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