読書-Harinezumiの生活

読書好きな自分(読書垢)が読んで本で伝えたいことなどを書いていきたいと思います!

【狼と兎のゲーム】正体の知れない大人と純粋な子供達との駆け引き劇

狼と兎のゲーム

狼と兎のゲーム

小学5年生の山上心澄望(こすも)は父親の茂雄から日常的に虐待を受けていました。心澄望には甲斐亜(がいあ)という弟がいます。

ある日、自宅で父親の茂雄が、甲斐亜の死体を庭に埋めようとしているところを目撃してしまうのです・・・

心澄望の母親も茂雄の暴力の被害者だったため、2年前に失踪してしまっていました。

孤独だった心澄望は、クラスメイトの藤沢智樹と一緒に茂雄から逃げだそうと試みます。

智樹と一緒に母親がいると思われる場所を目指しますが、そこにも茂雄が現れる・・

なんとかして今の支配された生活から解放されようと2人は知恵を働かせます。

死に物狂いで逃げる彼らを襲う数々の出来事が大人の様々な一面を知ることになるのです。

そして待っていたのは、恐怖と驚愕の結末!!

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■DVについての考察

domestic violence

よく小説の世界では夫が妻に、親が子供に暴力を振るうシーンが出てくるものですが、実際のDVということに対しては、自分にとっては今まで身近かなことではなかったために、深く考える機会がありませんでした。

DV(ドメスティック・バイオレンス)とは英語の「domestic violence」をカタカナで表記したもので、日本では「配偶者や恋人など親密な関係にある、又はあった者から振るわれる暴力」という意味で使用されることが多いようです。

これを未然に防ぐためには、個人、家族、社会全体が協力して取るべき幅広い対策があるようです。


【DV防止のためのアプローチ】

・教育と意識の向上:

家庭内暴力の問題を広く認識し、その深刻さを理解するため、教育キャンペーンや啓発活動を行うこと。

学校、メディア、コミュニティでの教育を通じて、家庭内暴力に対する意識を高めること。

・支援体制の充実:

家庭内暴力の被害者への支援体制を強化し、安全な避難場所や心理カウンセリング、法的支援、経済的支援などを提供すること。

被害者が安心して助けを求められる環境を整えること。

・加害者のリハビリテーション:

加害者に対するリハビリテーションプログラムを提供し、暴力行為を改善し、再発防止策を導入すること。

教育、カウンセリング、治療などがあります。

・法律の強化:

家庭内暴力を違法行為とし、適切な法的措置を講じることで、家庭内暴力を抑止する。警察、検察、裁判所が加害者に厳しい法的制裁を与えることが重要。

・サポートネットワークの構築:

コミュニティ、NGO、宗教団体など、さまざまな組織と協力し、家庭内暴力を防ぐための包括的なサポートネットワークを構築する。

地域社会全体で共同の責任を持つことが大切。

・早期介入:

家庭内暴力の初期兆候を見逃さず、早期に介入することが重要。

友人、家族、隣人は、被害者の安全を確保し、適切な支援を提供することです。

・平等と尊重の促進:

性別平等と尊重の文化を促進し、暴力を許容しない社会価値観を醸成すること。
教育やメディアを通じて、性別に基づく差別や暴力のルーツに対処することが必要。

DVを未然に防ぐためには、個人の行動、家庭、コミュニティ、法律、教育、支援体制の全てが結びついて取り組むことが不可欠なようです。

少し調べてみてもこれらの対策がいろいろと考えられているほど深刻な事態と言えます。

家庭内暴力は深刻な社会問題であり、その解決には包括的かつ持続的なアプローチが必要ということです。

 

■自分自身を振り返ってみて

自分を振り返る

もし、自分が加害者になってしまうと考えたらどうでしょうか?

とても怖いことですが、事前に兆候を察知することはできるかもしれません。

自分が家庭内暴力(DV)を行う可能性がある場合、その行動を変え、他の方法でストレスや紛争を解決する方法を見つけることが非常に重要とのことです。


【自分が引き起こすDVを予防するためにできること】

・自己認識と感情管理:

自分の感情を理解し、怒りやストレスなどの負の感情に対処する方法を学ぶことです。感情をコントロールし、冷静さを保つことが大切。

・コミュニケーションスキルの向上:

問題解決や感情の表現に効果的なコミュニケーションスキルを身に付けることです。

相手と対話し、理解し合うことが暴力を防ぐ一助になる。

ストレス管理:

ストレス解消法を見つけ、運動、瞑想、深呼吸などの方法を試みること。

ストレスを適切に管理することで、怒りの爆発を防ぐことができる。

専門家の助けを受ける:

必要であれば、心理カウンセリングや治療を受けることを検討すること。

専門家は感情や行動の問題に対処する手助けを提供してくれる。

アルコールや薬物の乱用を避ける:

アルコールや薬物の乱用は暴力行動を増加させる可能性があるため、これらの乱用を避けること。

サポートシステムの活用:

友人や家族に感情や問題を話すことで、支えを受けることができる。

孤立せずに、信頼できる人々とのつながりを保つこと。

問題解決とアルタナティブ(alternative:代替)行動の探求:

問題が発生した場合、DVではなく建設的な方法で解決策を見つけることが大事。

対話、妥協、協力を促進することが重要です。

DV教育プログラムへの参加:

自分の行動を改善するためにDV教育プログラムに参加することを検討する。

これらのプログラムは認識を高め、新しいスキルを学ぶのに役立つ。

上記のように自己認識と積極的な変化の意志が、DVを予防するために重要です。

また、専門家の支援を受け、他の人々との健全な関係を築くことが、DVを未然に防ぐ助けになります。

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■我孫子武丸さん(作者)について

我孫子武丸先生

我孫子武丸さんは、1962年兵庫県生まれの小説家です。

京都大学文学部哲学科に入学され、綾辻行人など著名な作家を輩出した、同大学の推理小説研究会に所属されていました。

大学を中退後、1989年に『8の殺人』で小説家デビューされています。

『殺戮にいたる病』(私も読みました!)や、「人形探偵シリーズ」など数々の人気作品を発表されています。

一方で、シナリオライターとしても活動しています。

原作を担当した推理ゲーム『かまいたちの夜』は125万本を売り上げる大ヒット作になりました。

小説だけでなく、脚本や漫画原作など多彩な舞台で活躍する作家の1人です。

 

(参考:我孫子先生の人気作品ランキング)

第1位 新装版 殺戮にいたる病
第2位 新装版 8の殺人
第3位 弥勒の掌
第4位 探偵映画
第5位 メビウスの殺人
第6位 修羅の家
第7位 凛の弦音
第8位 狼と兎のゲーム
第9位 さよならのためだけに 新装版
第10位 監禁探偵

私もまだまだ手を付けていない作品が多いので、機会を見て読ませていただこうと思っています。

 

■狼と兎のゲームを読んだ感想

恐怖感

お話の内容としては、危機迫る状況を小学生の二人がどう解決するのか?というところにハラハラ感を持つことができました。

加害側の茂雄のとる行動に対しては正直とても嫌悪感を抱いてしまう場面も多くあるのですが、逆に言えば読者にそう思わせるねらいにしっかりと自分が支配されてしまったようです。

また、DV(ドメスティック・バイオレンス)ということに対しても深く考察する機会となりました。

DVは小説の中のことだけではなく、現実にも生じていることだと考えると、やはり少し恐ろしくなります。

全ての人が恐怖を感じない日常生活を送ることが当然だと思っていた私には衝撃的な内容だったのです。

自分自身も含め、このお話のようなことは決してあってはならないと強く感じます。

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