今の時代、ご近所づきあいってしてますか?
一度仲良くなったら簡単には切れない関係というイメージがあります・・・
なのでご近所の方々と、個人的な深い付き合いを期待するのは、ちょっと危険かもしれません。
例え険悪になったとしても、関係を簡単に切ることができないという感じもします・・
人間関係に亀裂が入ったからといって、そう簡単に引越しできるものでもないし、近くに住んでいる以上は顔を合わせる機会もなくすことはできません。
個人的に思うのは、ご近所づきあいにはそれなりの覚悟がいるのかもしれないということです。
このお話を読んだあとは、ご近所と親しくするということに対して少し考えさせられてしまうようになるのではないでしょうか・・・
もちろんご近所付き合いが悪いということではないので、あくまで個人の見解ですが・・・
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■あらすじ
ある裁判官、梶間勲がひとつの事件に無罪判決を出しました。
その判断は正しかったのか?
「私は殺人鬼を解き放ってしまったのか?」
2年が経過し、梶間勲宅の隣に無罪判決を下した男・武内真伍が越してきました。
愛嬌のある対応、気の利いた贈り物、老人介護の手伝いなど……。
武内はどんどん梶間家に入り込んでいきます。
武内は溢れんばかりの善意で梶間家の人々の心をつかんでいくのです。
しかし梶間家の周辺で次々と不可解な事件が起こりはじめます。
武内の異常性のある性格に気が付かない梶間家の人々・・・
最後になにが起こってしまうのか?
■人に隠された正体を見破れるか?
人に抱く第一印象というのは、おそらく簡単には変えることのできないものなのだと思います。
「この人いい人だな!」という気持ちが「おやっ?」ひょっとしてこの人何か問題を秘めているのか?と思える瞬間ってどんなときなのでしょうか・・・
表面的には常に良い人であるオーラ放っている人の裏側を見つけることは極めて難しいことです。
それでも微妙な違和感に気づける人はいるものです。
でも、気づかれたと思いきやその人に対してまた蓋をしてしまう(それも極めて自然に)
このお話に登場する武内はそれを見事にやってのけるのです。
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■著者について
著者の雫井脩介さんは1968年生まれ、愛知県出身の作家です。
専修大学文学部を卒業後、出版社に入社したそうです。
その後1994年に社会保険労務士事務所で勤務し始めた頃から、本格的な執筆活動を開始しました。
1999年に『栄光一途』で第4回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞
2000年1月に作家デビューを果たします。
2005年には『犯人に告ぐ』で第7回大藪春彦賞を受賞。
新しい警察小説として話題を呼び、ベストセラーとなりました。(こちらの作品は有名ですね)
2005年と2016年に『火の粉』、2014年に『ビター・ブラッド』がドラマ化。
また、2007年に『クローズド・ノート』『犯人に告ぐ』の2作品、2018年に『検察側の罪人』が映画化されるなど、実写映像化された作品が多いです。
私も今までに、「犯人に告ぐ」と「クローズド・ノート」を読ませていただきました。どちらの作品もとても読み応えのあるものでした。
■まとめ
正直このお話を読んだあとは、どっと疲れが出ました。
登場する家族がどんどん崩壊していく様を見たくはないものの、先行きが気になって目が離せなくなり、そして最後に思っていたような結末を見ることになりました。
途中でどうして回避することができなかったのか?
どうして家族の意見を聞き入れてあげることができなかったのか?
隣人の正体に気づけない人に少し怒りを感じたほどです。
でもこれは架空のお話です、一応。。。
現実にこのようなことが起こらないことを祈るばかりです。
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