行動科学マネジメント研究所所長の石田淳氏による「教える技術」のマンガ版です。
カジュアル衣料品店の店舗で働く主人公の神吉凛は店長の立場で、なかなか仕事を覚えない部下たちと店の売り上げ不振に悩む日々が続きます・・・
偶然出会った人から「教える技術」を知り、それを店で実践したところ、部下の仕事ぶりや職場の雰囲気に変化生じてきます。
「教える技術」の最大のポイントは、部下の“やる気や根性”ではなく「行動」に着目して、指導や育成を行うということです。
「いつ・誰が・どこで」行っても同じ効果が上がる科学的な方法なので、教え手(上司)と学び手(部下)がどんな人でも、短時間で戦力に変えることができます。
新人、中途社員、アルバイト、外国人スタッフ、年上の部下を抱える方で指導に悩んでいる方は是非読んでおきたい1冊です。
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■部下育成の難しさと行動科学
人にものを教えることの難しさを実感ことは、特に上司側に立つ人であれば誰もが経験したことがあるかと思います。
普段自分のことだけを中心に考えて動いていればよかった状況の中に、人を教育するというミッションが課せられた時、少なからず身構えてしまうこともありますよね。
どんな人だろう?教えたことを理解してくれるだろうか?すぐに成果につなげてくれるだろうか?など心配事は尽きません。
本書では人の「行動」に着目した指導や育成の方法を教えてくれます。
組織の全体の約2割は放っておいても勝手に成果を上げるハイパフォーマーと言われます。
残りの8割の人たちを短時間で戦力に変えるために、行動科学に基づく指導や育成が効果的なのです。
■部下を育成するということ
本書では、教えるとは、相手から「望ましい行動を引き出す行為」であると定義されています。
相手が望ましい行動を身に付けていない場合には、少し細かく具体的な手順を教えることによってさらに実行し続けるように仕向けます。
また、相手が間違った行動をしている場合には望ましい方向に軌道修正する仕掛けを施します。
漠然とした「教える」という行為を「行動」というキーワードに着目して考えると上司である自分がやるべきことが見えてくるのです。
■どう伝えたらいいのだろう
具体的な行動で表現することが必要です。本書では行動を具体的に言語化するときに「MORSの法則」(具体性の法則)が紹介されています。
・Measured:計測できる(数値化できる)
・Observable:観察できる(どんな行動をしているのかわかる)
・Reliable:信頼できる(誰が見ても同じ行動だと認識できる)
・Specific:明確化されている(何をどうするかが明確になっている)
これを基にして、やるべき行動を具体的に伝えます。時にはイラストなども活用して誰にも同じように伝わるよう工夫もします。
そうするとそれぞれが実行できているかがはっきりとわかります。
「わかりました!」という言葉をあてにしすぎず、「MORSの法則」を使えば本当に理解してくれたのか?本当に身についたのか?を把握しやすくなりますね。
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■行動をほめることが成長につながる
部下の成長をサポートするには成功体験を積ませることです。
頑張った→成功した→認められた→うれしいという体験をしている人は意外と少ないのではないかと思います。
それはそういうことをうまくできる上司側の人間が少ないからです。
行動科学マネジメントの考え方に、「行動」の直後に「ごほうび」を与えるというものがあります。
それを「強化」と呼んでいて、その「強化」を重ねていくことでさらに「行動」の頻度を上げていくというものです。
そして、「ごほうび」というのはそれこそ上司からほめられることなのです。
■まとめ(今後の部下育成のために)
今までの自分自身を振り返ってみて、あいまいな教え方をしてしまった場面も多くあったのではないかと反省させられました。
教えた人に行動変容を求めるのであれば、もう少しわかりやすく伝え、教える側にとってもその変化が分かりやすい状態にしておかなければならないことを学びました。
背中をみて育て!とか、教えられなくても自分で習得しろ!という古い考え方は改めないといけないですね。
でも、「教えてもらっていないから何もできませ~ん」というマインドの人も困りものですが・・・
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