ミステリー好きなら作品名を知らない人がいないであろう名作です。
松本清張と言えば日本のミステリーの原点的な存在であると、私自身はとらえているのですが、数多くある作品の中でも代表的な1冊だと思います。
いわゆる刑事小説ということになりますが、一人の刑事の執念が事件の真実をとらえるまでの道のりを十分に感じることができます。
一見は男女の心中に見えた事象も、殺人事件として真実をあばく様は圧巻です。
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■あらすじ
舞台は昭和30年代。
福岡市香椎という岩だらけの海岸で寄り添う死体が見つかったのは、汚職事件渦中にある某省課長補佐と料亭の女中でした。
青酸カリ入りのジュース瓶がのこされ、警察では世の中にありふれた心中事件と考えられてしまいそうになります。
しかし、何かがおかしい──と福岡の老警刑事と東京のヒラ刑事は疑問を抱くのです。
うたがわしい人物は事件当時、鉄道で北海道に出張していたというアリバイがある・・・
そのアリバイは鉄壁だったのです。
■粘り強さからきっかけをつかむ
鳥飼刑事と三原刑事という2人の刑事の執念が事件解決に向けて尽力します。
時刻表トリックの古典にしては今でも新鮮に感じられる傑作ミステリーと言えます。
一見普通に見える心中事件なのですが、なんかおかしい?と気が付く2人の刑事がやり取りをする中で徐々に真実が見えてくるのです。
状況から当たり前に判断してしまう思いを打ち破り、粘り強く真実を追求してゆく様が2人の努力を感じさせてくれます。
容疑者が列車のホームで被害者の人物を目撃したという証言は不自然ではなかったか?
容疑者のいるホームから被害者の様子を見ることができたのは、列車がおびただしく重なる東京駅ではわずか4分間しかないことに気が付きます。
その4分間を狙ったようにその場にいた容疑者の行動とは?
これがこの事象を殺人事件と思わせるきっかけとなったのです。
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■2人の刑事の関係
鳥飼刑事と三原刑事の2人の手紙のやりとりなど、読む側の気持ちをワクワクさせてくれます。
刑事の習性とひとことで片づけてしまっていいのでしょうか?この執念はある意味関心させられます。
この作品は2007年にTVドラマ化されており、鳥飼刑事を北野武さん、三原刑事を高橋克典さんが演じています。
ドラマの中でのお二人のやりとりも非常に楽しませていただき、自分が本で感じていた2人の関係を見事に表現してくれた印象でした。
2人の地道な努力で見出す断片的な事象が徐々に一つにつながっていく様は見どころのひとつでした。
■松本清張の作品イメージ
「松本清張」というと自分の中のイメージでは少し格式高く、硬いイメージがあったため、なかなか手がつけられていない状況でもありました。
「砂の器」「ゼロの焦点」などなど偉大な代表作は多々あるものの、私の読書人生の中では今まで読んだことがありませんでした。
そんな中で今回初めて「点と線」を読みました。
お話の内容からこのタイトルの意味が自分なりに解釈できた時には、なるほどとうなってしまったほどです!
大作家の作品に触れてこなかったのはとてももったいない気持ちになりました。
今後はいろいろと手を付けてみたいと感じます。
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■まとめ(感想)
時代的には昭和30年代なのですが、考え方は決して古くなく、今の時代でももちろん楽しめる作品です。
ミステリー好きであれば絶対に押さえておくべき代表作品だと強く感じました。映画やドラマも作られていますので是非見てみることをお勧めします。
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