過去の江戸川乱歩賞受賞作品をたどってみるのも自分の読書本選定の一つの手段になっています。
もともと江戸川乱歩が大好きということにも影響していると言えるでしょうかね。
この作品は 第47回の江戸川乱歩賞受賞作品です。
死刑制度について深く考えさせられる内容になっており、じっくりと読むことができました。
死刑制度という言葉は時々ニュースなどでも耳にすることがあり、その都度問題意識を再燃させるものですが、正直今まであまり深く考えることができていませんでした。
このお話の中では死刑執行までについての生々しい記載があるため、死刑制度について深く考えてみたい方にも非常に参考になると思います。
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■13階段のあらすじ
犯行時刻の記憶を失った死刑囚。
その冤罪を晴らすために、刑務官・南郷は、前科を背負った青年・三上と共に調査を始めていきます。
しかし手掛かりは、死刑囚の脳裏に甦った「階段」の記憶のみでした。
処刑執行までに残された時間はわずかしかありません。2人は、無実の男の命を救うことができるのでしょうか。
江戸川乱歩賞受賞作品として今後も歴史上に残る長編作となっています。
自分自身の日常的な場面ではめったに口にすることはない「死刑制度」という言葉。
しかし、もちろんですが、犯罪の重さにより最終的に極刑判断が下されるという事実があることも理解しており、実際に極刑が執行される際に報道されるニュースにも意識を向けています。
物語の中には多くの人物が登場してきますが、死刑制度に対しての考え方については、自身の置かれた立場によって、その思いは異なってくると感じさせられます。
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■現実の死刑に関わる背景を知る
物語の中には死刑の執行が言い渡されるまでの壮絶な過程や、執行する担当刑務官の切実な心情など、今まで考えたこともなかった側面が語られています。
そんな内容を読むと、改めて死刑制度というものの重たさを感じざるを得ない状況でした。
この機会にいくつか死刑制度についての情報をネットで検索してみました。
制度の歴史的背景や、現在の執行の手順まで詳細に紹介されているものがありました。
この手続きや手順に関わる人(実際に仕事として行っている人)はいったいどんな気持ちで対応しているのか、私には想像ができませんでした・・・
【参考】21世紀 日本に死刑制度は必要か?
https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/shikei_pamphlet.pdf
それとは別にストーリーにはかなり引き込まれたことも事実です。
■感想
罪の性質、更生するということの裏に隠された事実、親族の思いなどの錯綜に物語の面白さを十分に感じることができました。
そしてそれぞれの登場人物が抱く思いに、心臓をぐっとつかまれるくらい考えさせられる場面もありました。
この本は自分の人生の中でも読んで良かったと思えるものの一つです。
反町隆史さん、山崎努さんが演じる映画も拝見しました。
私はいつも原作を読んでから映像化されているものを見るということにこだわっているのですが、この作品は原作で重たく感じたことを見事に再現してくれていると思います。
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