これぞ柚月裕子さんの原点といえる作品です。
臨床心理士・佐久間美帆が担当した青年・藤木司は、人の感情が色でわかる「共感覚」を持っていました。
美帆は友人の警察官と共に、少女の死の真相に迫ります!
著者のすべてが詰まった鮮烈なデビュー作品です!
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■共感覚という概念
「共感覚」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
私もこの本を読むまで意識するとがなかったのですが、思い返せば以前知り合いから、「私は人を見るとその人の色をイメージすることができる」と聞いたことがありました。
その現象を言葉にしたものが「共感色」というらしく、それに近しいことなのかもしれません。
色や感覚など人を見ると感じることができる特殊能力と言ったところでしょうか?
【Wikipediaより】
共感覚(きょうかんかく、シナスタジア、英: synesthesia, 羅: synæsthesia)
ある1つの刺激に対して、通常の感覚だけでなく 異なる種類の感覚も自動的に生じる知覚現象をいう。
例えば、共感覚を持つ人には文字に色を感じたり、音に色を感じたり、味や匂いに、色や形を感じたりする。
複数の共感覚を持つ人もいれば、1種類しか持たない人もいる。
共感覚には多様なタイプがあり、これまでに150種類以上の共感覚が確認されている。
共感覚を持つ人の割合については、昔は10万人に1人などと言われていたが、最新の研究では23人に1人というものもある。
この内容からもわかる通り、かなり感受性の強い人に起こる現象だと想像できますね。
この感覚能力のある人は普段の生活に役立つのか、それとも邪魔をしてしまうことなのか・・・とても気になるところです。
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■ストーリーから感じること
このお話は「共感覚」を持つ少年が鍵をにぎっています。
障がい者施設に入所していた司(つかさ)と親しくしていた少女の死が自殺とされていたのですが、実はそれが真実ではないことを彼が主張します。
それは司が持つ「共感覚」を通じてその施設に関わる人物の本性を感じることから確信をしていることだったのです。
そして明らかになる真実は・・・
障がい者施設という背景もそうですが、その施設を運用する人間にはあってはならない事実が判明することになり、私にとっては少し悲しくもある事実でした・・
■柚月裕子さんについて
1968年岩手県生まれだそうです。
2008年『臨床真理』で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビューされました。
2013年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞を受賞。
2016年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。
他の作品には、『ミカエルの鼓動』『チョウセンアサガオの咲く夏』などがあります。
私が初めて読んだ柚月さんの作品は『盤上の向日葵』でした。
柚月さんの作品はとても人間味あふれるものが多いと思っています。
勝手ながら私と同年代の方でもあり、今後も応援させていただきたいですね!
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