ビブリア古書堂の事件手帖7ではシェイクスピア戯曲集を題材に古書のオークションの世界の様子がうかがえます。
読書好きの私がこのビブリア古書堂の事件手帖7を通じて古書のオークションの世界に関心を持ったため、その内容を少し調べてみました。
古書オークションの世界とはどんなものなのか?を知ることで、この作品をより楽しむことができるでしょう!
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■ビブリア古書堂の事件手帖7のあらすじ
前作で取り上げられていた太宰治自家用の『晩年』をめぐり、取り引きに訪れたずるがしこい道具商の男。彼はある一冊の古書を残していきます。
奇妙な縁に導かれ、対峙することになった劇作家ウィリアム・シェイクスピアの古書。
大輔と栞子は、栞子の祖父によって仕掛けられていた巧妙な罠へとはまっていきます……。
人から人へと受け継がれる古書と、脈々と続く家族の関係。その物語に幕引きのときがおとずれます。
栞子の母である、條川智恵子とのオークションでの対決場面は非常に惹きつけられます。
■ウィリアム・シェイクスピアのファーストフォリオとは
ビブリア古書堂の事件手帖7ではシェイクスピの戯曲をまとめて出版した最初の作品集である「ファーストフォリオ」という本が登場します。
戯曲とは舞台で上演するために書かれた作品のことですね。
ロミオとジュリエット、ヴェニスの商人、マクベスなどの有名作品を含む36本の戯曲が収められているようです。
いずれも有名な作品ばかりですが、私は今までに読んだことがありません。
よく、外国のアンティーク本のイメージを写真で見ることができると思いますが、いかにも歴史的に価値がありそうなものです。
ファースト・フォリオは全部で750部ほど印刷されたらしいですが、現在まで残っているとみられるのは235部のみ。
そのうち完全な形とされるのは56部しかなく、ほとんどは英米の施設等の所蔵となっているようです。
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■古書オークションの世界のしくみ
そもそも古書オークションは、希少な古書や貴重な書籍を競売にかけて取引する仕組みです。
古書オークションは、古書愛好家やコレクターにとっては貴重な商品を手に入れるまたとない機会として重要な位置づけにあると言えますね。
【扱うものの選定と評価】
オークション主催者や出品者は、競売にかけられる古書を選定し、その価値を評価します。希少性、歴史的価値、状態などの評価要素で考慮されます。
【目録の作成】
選定された古書に関する詳細な情報がまとめられた目録が作成されます。目録には、書名、著者、出版年、状態の評価、写真、特記事項などの情報を盛り込みます。
【事前の宣伝】
オークション主催者は、競売に参加してもらうためにプレオークション(事前の宣伝)を行います。カタログの配布、オンラインでの広告、専門雑誌への広告などが含まれます。
【入札】
オークションが開始されると、入札が行われます。入札は通常、オークション主催者の拍子木(オークショニア)が「落ちます!」と宣言し、入札者が価格を提案する形式で行われます。
最後の入札の場面はときどきドラマなどでも出てくるシーンですね。我々の身近なところではヤフーオークションなどでしょうか。
■実際のオークション記録
2010年の記事ではありますが(CNNニュース)初版本は10億円で落札されたという事実もあります。
世界に目を向けると恐ろしいほどの稀覯本がこの世には存在しているということを実感させられますね。
その他、2021年9月時点での情報ではありますが、古書オークション史上最も高額で落札された本は、レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿である「コーパス・アトランティクス」(Codex Atlanticus)というものだそうです。
これはダ・ヴィンチが書いた、科学、工学、芸術、哲学など様々なトピックを含む巨大な手稿集。
「コーパス・アトランティクス」は、2016年にニューヨークでクリスティーズ・オークションで競売にかけられ、その時の価格は約3,000万ドル(約300億円)で落札されました。
恐ろしすぎる・・・古書のオークションの世界の計り知れない奥深さを知ることができますね。
■まとめ(感想)
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ビブリア古書堂の事件手帖7を読むことによって、今まで知らなかった古書オークションの世界を探る機会を持つことができました。
日本の古書でも稀覯本はあるものの、世界に目を向けるとそのレベルも自分の常識の範囲を超えるもので、意識が改まりますね。
鎌倉の街中の小さな古書店の店主がまさかこんな世界的に貴重な本に対峙する展開になるとは思っていなかったので、驚きもありましたが、事件手帳の最後を飾るお話としてはとても壮大で楽しかったと感じています。
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