三上延さんのビブリア古書堂の事件手帖を読み続けて第6冊目になりました。
各巻では様々な古書をめぐるお話が展開されていますが、今回のシリーズ6では「太宰治」の特集になっています。
シリーズ1で太宰治の「晩年」という稀覯本をめぐる事件は映画にもドラマにもなり、有名なお話だと思いますが、本巻はその続編と言ってもよいと思います。
誰もが知る太宰治の真の姿なども知ることができる貴重な1冊です。
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■あらすじ
かつて太宰治の『晩年』を奪うために、ビブリア古書堂の店主である篠川栞子に危害を加えた田中。
栞子と大輔の前に彼が再び現れます。
意外なことに今度は依頼者として・・・
今回は、奪おうとしていた『晩年』とは異なる『晩年』、太宰治の直筆コメントがあるものを捜しているという奇妙な依頼でした。
署名とはちがいながらも太宰自筆と分かる珍しい書きこみがあるらしい・・
この本を捜索するうちに、栞子と大輔は驚くべき事実に辿り着きます。
47年前にあった太宰の稀覯本を巡る盗難事件。
それには二人の祖父母が関わっていたのです。
このお話は是非シリーズ1をじっくりと読んでから味わってほしいお話です。
■晩年に収録されている作品
晩年(ばんねん)は、太宰治の短編集です。
1936年(昭和11年)6月25日、砂小屋書房より刊行された著者初の創作集であり、以下の作品が収録されています。
葉(1934年4月)
思い出(1933年4月)
魚服記(1933年3月)
列車(1933年2月)
地球図(1935年12月)
猿ケ島(1935年9月)
雀こ(1935年7月)
道化の華(1935年9月)
猿面冠者(1934年7月)
逆行(1935年2月)
彼は昔の彼ならず(1934年10月)
ロネマスク(1934年11月)
玩具(1935年7月)
陰火(1936年4月)
めくら草紙(1936年1月)
太宰治は知っていても、聞いたことが無い作品名ばかりかと思います。
恐らくよほどの太宰治ファンでないとたどり着かないのではないでしょうか?
写真はあくまでも復刻版ですが、「アンカット」という発行になっており、読者がページをペーパーナイフで切りながら読むタイプの本になっているようです。
ちなみに『晩年』初版本は、コンディションが良く、帯付きで、署名がなされていれば古書価で200万円以上になるとも言われているそうですよ!
■太宰治の人物像
本名は津島修治といいます。太宰治はペンネームです。
明治~昭和初期にかけて、数多くの作品を残した太宰治ですが、それとは逆に度重なる自殺未遂・薬物中毒・不倫…など決して褒められた人生ではなかったと言えますね。
ただそんな自分の堕落さをうまく小説のネタに取り込んでしまうことで、注目を得ていたのです。
結局最後は1948年、38歳の時に、愛人と入水自殺をしてしまいました。
「人間失格」を発表した同じ年でした。
恐らく今の時代であればスキャンダル報道に頻繁に出るような人だったのではないでしょうか。
波乱万丈な人生があるからこそ、生み出した作品も注目される・・・
本当にそれでいいのか?と思いながらもファンが多いことも事実ですからね。
「自信モテ生キヨ生キトシ生クルモノスベテコレ罪ノ子ナレバ」
この言葉は「人は誰しも罪を背負って生きている。
だから自信をもって生きなさい」と太宰が残したメッセージですが、なんども出てくるフレーズなので頭のなかに刷り込まれてしまいました!
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