この女から、逃げられない。衝撃が二度襲う破滅のサスペンス!
40歳独身の尚之は、お見合いパーティで《サトウミサキ》と出会う。
彼女の虜となり逢瀬を重ねる尚之だが、結婚の話が進むにつれて
ミサキは不審な行動を見せ始める。
一方、若手刑事の宮下は、一匹狼のベテラン・安井の相棒として、
焼死事件を追っていた。
単純な火災事故のはずが、安井だけは裏に潜む事件を確信しており――。
関わる者を必ず破滅させる女、その正体とは? 全ての謎が繋がるとき、
あなたを再び衝撃が襲う!
「サトウミサキ」という名前がしばらく記憶に残りそうです。
装丁帯に書かれた内容だけでは済まされないほど深いお話です。
ある家族が過去に受けた悲惨な状況の復讐のため、サトウミサキがある意味、
理解不能な動きをします。
各章ごと、それぞれ独立したお話のような感じを受けますが、
それが徐々にすべてつながりを持ってくる・・・
後半はある刑事の執念にフォーカスされており、驚くべき展開を迎えます。
この話はこれだけでは終わらないであろう含みがあります。
しかし、
そこで終わってしまうことがかえってなんともいえない余韻を与えてくれます。
最後の若手刑事の宮下の決意場面は、加筆されたと聞きました。
またそれが、この作品の余韻を深めてくれているのです。
これとは別に以前読んだ「代償」も非常に気持ちがかき乱される内容
でしたが、この「本性」も読んでいくうちになぜか自分の気持ちも
コントロールされているような感じを受けました。
これぞ伊岡ワールドか?見事なものです・・